aiko歌うのうまいねぇ

男性はカラオケで女性にaikoの曲を歌われたらうっとりするように作られている…なんて文章は主語がデカすぎるのでよろしくない。けれども、主語を大きくしたくなるほどに、それは自分にとって当たり前のことで、他人との共通認識であってほしいと思ってしまう。というか実際、こんなこと言っている人は山ほどいる。

「僕の好きな女の子」は歌が大変お上手である。ちなみに僕はお上手ではない。あまり音程が取れないし、2、3曲歌っただけで喉が潰れかけるし、特にリズム感はヒドいものだ。太鼓の達人を面白いと思えないし、ドンキーコンガミニゲームだけ楽しめた。ポップンミュージックは友達の名プレイを感心しながら見たことがあるがやったことはない。

歌が上手い人とカラオケに行くと劣等感を抱いてしまうので、「好きな女の子」と過ごすようになる前は、1人カラオケによく行っていた(下手だけれど歌うのは好き)。しかし、最近は僕から誘って2人で行くことが多い。「好きな女の子」の、歌のファンなのだ。ちなみに顔ファンでもある。

「別の世界では姉弟だったのかもね」という歌詞がある名曲があるけれど、僕と「僕の好きな女の子」については、きっとそんな世界線の可能性よりもアイドルとファンの関係性だった可能性のほうが高いだろう。歌も上手いし、ビジュアルも抜群だから。

そう考えると自分の幸せ者ぐあいを改めて実感できる。「好きなアイドルがクラスに転校してきた!」的な、天文学的確率で発生するイベントに賭けずに済んでいるのだから。

僕が宇多田ヒカルハロプロの曲をリクエストし、「好きな女の子」が歌う。そしてaikoの「milk」や「花火」も。この時間は大変心地よい。

aikoの曲はかなり難しい。なめてかかると聞いてられない歌になってしまう。「僕の好きな女の子」はそれをさらりと歌ってのけるから、トンデモナイなといつも思う。

歌というのは、上手い下手ではなく、誰が歌うかという視点のほうが、大きな意味を持つ。けれど、上手いに越したことはない。まあそもそも「誰が歌うかという視点」については、僕にとって「好きな女の子」が最適解だ。

 

今日は締めの一曲に「ボーイフレンド」をリクエストした。快諾し、正確なピッチで歌いあげていく。

歌い終わった「好きな女の子」に僕は言う。

aiko歌うのうまいねぇ」

「ふふん」

aikoばりの愛嬌のおる笑顔を返ってきた。

二回も延長してよかったな。